みちてる、みちてた。

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『ミュージック・ブレス・ユー‼』/津村記久子(2019.10.5)

 いつも耳に装着しているヘッドホン。

 音楽を聴くのが好きな高校生の「アザミ」は勉強が苦手(特に数学)で、周りが本格的に大学受験に腰を据え始めても、進路を考えられずにいる。

 

 そんな「アザミ」の心の声には、自分自身の学生時代を振り返って、

 

「確かに、そう。私も確かにこんな感じだったし、今だって本質的には変わってないんだよね…」

 

 と思わずにはいられませんでした。

 

〜アザミについて〜 

 幼いころの「アザミ」は、「じっと座っていることができない」「はさみで自分の髪を切る」などの問題行動により、小学校の担任からは「おかしい」とまで指摘されていた。

 

 時を経て高校生になった「アザミ」は、やはり周りから奇異な存在に見られがちなのかもしれないけれど、経験から学んできた他人への立ち振る舞い方を心得ている部分が垣間見られる。

 

 この流れでこれ以上の発言はしない方がいいと踏みとどまったり、他人への洞察力はむしろ優れているように見えたり。

 

 だけど親から期待されていないことの申し訳なさや幼いころから身についてきた劣等感が、「アザミ」のストレートな感情を抑制させているのなら、単純に「普通にすごいじゃん」と感心していいものなのかちょっと複雑。。。

  

〜アザミと私の共通点〜 

 「アザミ」が進路について考えが及ばない感覚に、ものすごく共感しながら読んだ。

 私も進学や就職なんて自分には縁のない世界で、「将来の夢は何?」と問われても、「こんなことには興味あるんだけど」とぼんやり思い浮かべる状況が、世の中に数多ある職業にどうしたって結びつけて考えられなかったのだ。

 

 さらには、ふたつ以上の物事を同時進行するのが苦手なゆえ、ひとつ気がかりなことがあるとそれ以外のことは手につかなくなってしまう。(この癖、直したい(ToT))

 

 「アザミ」とは反対に、教室ではじっと黙り込んでいるタイプだったけれど、みんながそつなくこなしている作業に時間がかかったり、勉強がダメダメだったり、「アザミ」との共通点は多々あるのだった。

 

 だから「アザミ」は今、どんな生き方をしてるのかなと想像し、「アザミらしさ」を失わないままでいてくれていたら、と願いほろりとしてしまった。

 

 「アザミ」以外の登場人物も、それはそれは個性的なメンバーが揃っている。

 ちょっとばかし凶暴な正義感を持つ「チユキ」や「アザミ」と同様に歯科矯正で歯医者へ通っている「モチヅキ」。「アザミ」とどこか同じ匂いがする「トノムラ」など。

 

★読んでよかった、と感じる作品でした(*^^)

 

(2019/10/05:読了)

 

ミュージック・ブレス・ユー!! (角川文庫)

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