みちてる、みちてた。

ここにいるのにここがどこだかわからなくなるから、書き留めています。Twitter→(@yoshi_mi24)

玄関で繰り広げた攻防戦の末


f:id:yoshimi24h:20201217001933j:image

 

 我が家の招き猫(だと私たち家族は強く信じている!)ことステファニーとは、長年玄関で戦ってきた歴史がある。

 

 まずこちらが服を着替えている時点で、ステファニーがニャーニャー鳴いている場合は「あ、今日は戦う気だなんだな」と察することができる。

 

 すると案の定、私が玄関で靴に足を突っ込んでいると、先回りした彼女が扉の前でピンと尻尾を持ち上げて立ちふさがっているのだ。

 

 

「ねえ、わたしをひとり置いていかないでよぉぉぉ(;_;)」

 

 

 なんて、ステファニーが可愛らしい口調で瞳を潤ませたりするはずがない。

 

 

「どうせ誘ってるんでしょ。あんたも好きね。仕方ないから、いっちょ相手してあげるわ( ̄ー ̄)ニヤリ」

 

 

 てな感じの上から目線で、ニャゴニャゴつぶやいているのである。

 

 「いやいや、遊んでる場合じゃないんだよ」とステファニーを押しのけようものなら、「あぁ、ちょっと! 今お尻押したでしょ。押したわよね? レディーのお尻をあんたは押したわよね!」と因縁をつけられキレ気味で指を噛みついてくる。

 

 初期対応を間違えると、一瞬にしてステファニーは本気モードに入ってしまうから面倒くさい!

 

私:「ごめん。でも私、出かけなきゃいけないからさ」

 

ス:「分かってるわよ。で、わたしをその扉の外には絶対出させようとしないのよね、あんたたちは」

 

私:「外は危険がいっぱいだからね。出ない方が身のためだよ」

 

ス:「そう言われると出たくなるのが猫の性ってもんよ……あっ!」

 

 後ろ手でこっそり解錠しても、小さな音も聞き逃すまいとばかりに素早く反応したステファニーが、「わたしも出るわ!」と足の隙間をくぐり抜けようとしてくるのも毎回のこと。

 

私:「だから、ダメなんだよ。ごめんね」

 

ス:「いいじゃない、ちょっとくらい」

 

私:「外なんて寒いだけだもん」

 

ス:「融通がきかないオンナね」

 

私:「ほらほら、こっち見て。投げるよ、投げるよ〜」


 そう言って握りしめた拳を振り子のように揺らすと、猫の本能なのか彼女は不本意ながらも徐々に私の手の動きにつられて目をキラキラ輝かせ始めるのだ。

 

 もちろん拳の中には何も入っていないのだけれど、あたかもおもちゃが入っているかのように見せかけたタイミングで廊下の先へ放り投げる仕草をしてみる。

 

 すっかり騙されているステファニーは目を輝かせたまま廊下を駆けていくから、「この隙に!」と私はドアノブをひねるのだが、「わたしを騙したわね!」と怒りの形相で猛ダッシュしてきたステファニーにあっさり阻止されてしまうのである。

 

*****

 

 この騙し騙されを何回か続けているうちに、「結局ステファニーはこの展開になるよう、私を仕向けているのかしら……」と思ったりするのですよ。というのも、猛ダッシュしてくるときのイキイキした感じが何とも楽しそうなんだもの。

 

 14歳……人間で計算すると70は過ぎているであろう彼女が、まるで3歳弱のような溌剌さを備え、あわよくばドアの隙間に体をねじ込もうとしては失敗し私の足に頭をなすりつけて甘えてくる。

 

 

 ──あああああ、なんて可愛い♡ 本当なら私だって、ステファニーをおぶって外へ出かけたいよぉぉぉ!

 

 

 もこもこした彼女の体を抱きしめ撫でて、お互いが納得して頷き合ったところで、ようやく私は玄関の外へ出る。

 

 こうして私たちの10分近い攻防戦は終わりをむかえるのだ。

 

*****

 

 その結果……
 出かける前の憂鬱が吹き飛び、準備運動をした後みたいに身体がホカホカしている私がいる。

 

 ──もしかしてステファニーは不安症な私の心をほぐしてくれたのかな?

 

 なんていうのは飼い主的都合のいい解釈なのだろう。たぶん彼女からすれば、こちらをもてあそんでいるだけなのかもしれない。

 

 だけどステファニー、いつも私はあなたに癒やされているのだよ。外にいるときも時々ステファニーを思い出して、不安をどこかに押しやるの。ありがとう。

 

 これからもどうぞ私をもてあそんで!(笑)