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『女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと』/西原理恵子(2020.1.29)

娘を慮る母の愛が、笑いとともに伝わってくる一冊でした。

 

◆目次◆

 

女の子が生きていくときに、覚えていてほしいこと
 

 

 

 

■「西原理恵子=肝っ玉かあちゃん」のイメージ

 

 西原理恵子さんといえば、漫画『毎日かあさん』が有名ですよね。

 

 

お徳用 毎日かあさん 1+2巻

お徳用 毎日かあさん 1+2巻

 

 

 

 読んだ経験がない方でも、「あ、あの漫画!」と割烹着姿のお母さんがパッと頭に思い浮かぶことでしょう。

 

 漫画に触れる機会が少ない私が、まさにそうなのです。

 というか、西原さんご自身がよくメディアに出られているので、西原さんのお顔の方が先に浮かぶくらいなんですよね。

 

【ユーモアあふれる発言で自由奔放に見えつつ、芯が通っている肝っ玉かあちゃん

 これが、私が抱いていた西原理恵子さんの印象でした。

 

 波瀾万丈な人生を送ってこられたのだろう。

 情報は耳に入ってくるから、なんとなくは想像していたんです。

 本書を読んで、本当に“なんとなく”しか知らなかったんだなと痛感するばかりでした。

 どうして西原さんには、何事にも動じないオーラが漂っているのか。

 それは、人生でどん底を見ても最後には「笑う」精神を貫いているからなのでしょう。

 

 

■父親の自殺、元夫のアルコール依存症

 

 クスッと笑いを誘う娘さんの反抗期エピソードに、「分かる~」と最初は子ども目線で共感し楽しんで読んでいたんです。

 ところが、西原さんが漫画家になるまでの道のりや適切な判断ができないほど追いつめられていた時期の話が出てくると、息を飲みました。

 

 私が大学を受験するはずの日に、父親が首を吊って死んだ。

 

(P9「はじめ 私が女の子だった頃」より)

 

 この事実だけでも衝撃的。

 

 「絵を描いて食べていく人になる」と決めていた西原さんは高知県から上京するのですが、周りとの実力の差を思い知らされます。

 

 でもそこで卑屈にならない。自分自身を知り認めた上で、やりたいことはなんなのか、そのためにどう進んだらいいのかを探っていく。

 

 ダメならダメで、はい、次行ってみよう。

 どっかに「ここならいける!」って場所が必ずあるから。

 

(P54「スタート地点に立つために、できること。」より)

 

 この言葉、30過ぎた私でも心強くなるんだから、視野を狭くしてしまいがちな「女の子」の時代を生きている子たちが読んだら、すーっと心が軽くなるんじゃないかな。

 

 

 やがて漫画家としてデビューした西原さんは、ご結婚されてお子さんを2人もうけます。という一文だけを読めば、その後は順風満帆だったのかしら? と想像してしまいがちですが……。

 

 アルコール依存症になったご主人からの暴力の日々が始まる──。

 

 仕事と育児を両立するだけでも精一杯の中、好きな人、愛する人から暴力を受ける(言葉の暴力も含む)とは、どれだけ悲しく辛い現実だったか。追った傷の深さは、安易に想像できません。

 

 限界だから逃げる、そういった思考にも至れず適切な判断が下せなくなる。心に強く刻まれていくのは「我慢」の2文字。だからますます身動きがとれなくなっていく。逃げ遅れてしまう。

 

 ご主人との微笑ましいエピソードも出てくるだけに、ご主人の存在そのものを憎みたいわけじゃないことが伝わってきました。

 ただ、過去として当時を客観的にとらえられるようになったとき、「どうして、どうして」と相手に対する憎しみや後悔が色濃くなる瞬間があるのかもしれません……。

 

 ──みんな我慢してます、私だって我慢してきた。そんな言葉に騙されないで。みんなで我慢するんじゃなくって、みんなで幸せになればいい。

 

(P135「女の子が生きていくときに、覚えていてほしい5つのこと。」より)

 

 絶望のトンネルに迷い込んでしまったとき、このメッセージは一筋の光になるはずです。

 

 

■母から娘へ、すべての女の子へ

 

 娘さんの反抗期を通じて西原さんも自身の反抗期と母親との関係を振り返る。

 読んでいるこちらも、「中学生くらいのときは……」と自分の反抗期と母親との関係振り返る。

 

 私は結婚していないし子どももいないので、娘の存在が母にとってどんなものなのかがよくわかりません。

 家の中に反抗期真っ只中の私にそっくりな子がいたら、「キィィィィー!!」と毎日頭に血がのぼって家出してしまいそうな気がします(笑)

 

 でも、母はいつもそばにいてくれた。

 愛想がなく顔も可愛くないワガママでくじけてばかりいる私を見放さないでいてくれたのは、唯一母だけでした。もちろん家族の形は家庭によって様々ですが、我が家では母が私の味方でいてくれました。

 西原さんのように「あのね、これだけは覚えておいてね」と女の子だったころの私に伝えたいことがたくさんあったかもしれません。

 私の母も、多くの苦難を乗り越えてきた人だから。

 

 

 夢ってなんだろう?

 お金って必要なもの?

 幸せになるためには?

 ……ていうか、幸せになっていいの?

 

 

 西原さんが歩んできた道や見てきた景色、経験から紡ぎ出される“メッセージ”。

 愛する娘へ語りかけるように、読み手であるすべての女の子へ語りかけてくれていますよ。

 

 困難な出来事を乗り越えた先で、それを「笑い」に変えられる人に私もなりたいと感じました(*^^*)

 

(2020.1.29:読了)