みちてる、みちてた。

ここにいるのにここがどこだかわからなくなるから、書き留めています。Twitter→(@yoshi_mi24)

気持ちの切り替えが下手なだけ。


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 今週、はじめて工賃をいただいた。先月分の工賃だ。

 

 就労継続支援B型事業所へ正式に通所が決まったのは、9月の終わりごろ。週に数回、しかもまるまる1日事業所で過ごすだけの自信がまだない私は、午前中のみで帰宅している。そのため、いただけた工賃は300円にも満たなかった。

 

 しかしながら、小銭のじゃらじゃらした重みを受け取ったときは思いのほか感激した。「作業」と呼べるほどの作業をこなせているのかそこにはまだ自覚を持てないけれども、ここまでたどり着いたという実感を「小銭のじゃらじゃら」が教えてくれた気がしたのである。

 

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 あまり連呼するのはくどいから嫌なのだけれど、事業所の扉を開くに至ったそもそもは「金銭面の不安」にある。あえて太字にした理由は特にない。

 金銭面を考慮するなら、雇用契約を結ぶ「A型事業所」や短時間の障害者就労も探せばあるのだろうが、ほぼ引きこもっていた状態から急に働き出すのは不安しかなかった。

 

 だいたいこれまでが、毎回同じ過ちを繰り返してきたのだ。「フルタイムでいけます! 私いけまっす!」と面接で虚勢を張ってきたばかりに、自爆してきたと言っても過言ではない。

 

 もう繰り返したくはなかった。

 B型事業所を選んだのは、自分がどれだけ動けるのか、どんな状況で苦痛や疲労が強くなるのかを観察してみたい気持ちもあったからだった。

 

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 おかげてひとつ、解明した問題がある。

 名づけて「行きたくない問題」だ。

 

 それは朝の目覚めとともに起こる。

 行きたくないのだ。

 バカ正直なんじゃないの? と書いていて可笑しくなる。でも、行きたくないのだ。事業所に。というか、どこへも行きたくない。目覚めたくないとさえ思う。

 

 顔を洗い、水を飲み、化粧をし……なんだかんだで時間が経過しても「行きたくない」意思に変わりはない。

 

 だけど冴えた頭で考えてみると、ちょっと変なのである。

 

 通っている事業所が嫌いだとか職員や利用者に苦手な人がいるとか、「行きたくない」と拒む要素が特にないのだ。

 むしろ毎回、「行ってよかったなあ」「意外と楽しいなあ」「もうちょっと作業していたかったなあ」などなど充足感を抱えながら帰路についている。なんなら「次回も楽しみ」なんて上機嫌でいる。

 

 緊張はまだまだ解けないものの、「行きたくない」わけではない。

 思えばこれまでもそういうケースが多かった。

 玄関で靴を履いている段階まできても、いまひとつ決心がまとまらない。心の底から出社を拒絶しているんじゃない、とはなんとなく気づいていたからモヤモヤしていた。

 

 この「行きたくない問題」をカウンセリングで話したところ、「気持ちの切り替えがうまくできていないせいなのかもしれない」と言われた。ADHDの特性として診られるものでもあると。

 

 そういう特性がADHDの人にあるのは知っていたものの、「気持ちの切り替えがうまくできない」が具体的にどんな状態をさすのかを理解できていなかった。

 他者の例は数多くの記載があれど、自分の言動に当てはめていいのか「自信がない」って表現は微妙に違うか……でもなんかそういうの、言えないだけでいっぱいある、よね?

 

*****

 

 早速昨日の朝も「行きたくない問題」にぶち当たった。前夜から決め込んでいたみたいに、起き抜けから深いため息がもれた。

 しかし前夜は「アメトーーク!」を観て笑い、満足した状態で就寝したはずなのである。

 

 鉛のごとく全身が重い。連日目まぐるしい夢を見せつけてくる脳が憎い。寝て疲れが増すんですもん。寝直したい、非常に寝直したい。なんかアホみたい寒いけど顔洗わんといかんかね。1秒で終わる化粧パックみたいなのがほしいよ、まったく。寝直したい、非常に寝直したい。雨めんどくさっ。それよりさっきの目まぐるしい夢の残像が……。

 

 相変わらずまとまりのない脳内カオスをひっくるめて私は、「行きたくない」の一言に変換し心の中でつぶやいていた。

 

「あー、行きたくない、行きたくない、行きたくない」

 

 呪文のように唱えながらうなだれる自分に、「そりゃあ、これだけ行きたくないを連呼したらホントに行きたくなくなるよね」と言い返してみる。

 すると呪文が止まった。間が空いたと言うべきか。その拍子にすかさず両頬をピシャリと叩いてみた。

 

 

「切り替えがうまくいかないだけ。私は気持ちの切り替えが下手なの。行きたくないのは本心じゃないんだよ。これは切り替えの問題です、これは切り替えの問題です、これは切り替えの問題です!」

 

 

 家を出て雨の中を歩いている途中も、頭はもわもわしていた。半分夢の中を歩いているような。

 けれど目的地に着くと、もわもわは吹き飛んでいる。そのころには、モードが切り替わっているのだ。眠気を引きずっていても、それは「行きたくない」に直結しない。そしてやはり、昨日も帰路につきながら「行ってよかった」と満たされていた。

 

 気持ちの切り替えがうまくいかない。

 それは違う場面でも見られるから、確かにあるのだと思う。朝の場面に関して言えば、睡眠の質も関係しているのだろう。

 

 あとは、「目覚めなければよかった」と起き抜けに盛大なため息をつかなくてよくなる朝を迎えたい。

 来月工賃をいただく時期には、私の朝に変化は見られているだろうか。