みちてる、みちてた。

ここにいるのにここがどこだかわからなくなるから、書き留めています。Twitter→(@yoshi_mi24)

10月31日。


 11月に入り風がピタリと止まった。

 都会から微かに届くざわめきや色めきたつ声が、遠のいていくようだった。



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 10月31日。

 衆議院選挙の投票へ行き、夜になれば開票速報であふれるニュース画面を自分もぼんやり眺めているのだろうと想像していた。夕方までは。夜は選挙結果一色なのだろう、と。


 しかし夜になってほぼリアルタイムで自分が目にした動画は、TwitterのTLで流れてきた京王線で起きた事件に関するものだった。

 常にスマホには通信制限をかけて、節約モードにしている。その場合は再生ボタンを押さないと動画は流れない状態なのだけれど、このときはWiFiに繋がっていた。流れてくるままに動画を目にした。


 駅で起きた詳しい惨劇を知るのは、少しあとになってからだ。それでも、とんでもないことが起きているらしいとは覚れる。


 事件が起きた直後くらいだったか。テレビでは渋谷からの中継を行っていた。

 渋谷の若者は選挙に関心があったのか、投票へ行ったかのアンケートをとってみたとアナウンサーが伝えている。


 ハロウィンでもあったこの日。


 なんだろう。

 現実が解離しているみたいに感じた。



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 「殺されるかもしれない」という乗客の恐怖。

 「死ぬかもしれない」とはまた異なる恐怖。


 スマホ画面とテレビ画面の温度差。


 テレビ局によって異なる、この日渋谷にいた若者にとった選挙に関心を持っているかのアンケート結果。


 犯人が上京してきてから流れた時間。

 たまたま犯人と同じ車両に居合わせた乗客。


 10月から11月へ。

 堰き止められず進んでいく。

 進んでいってしまう。


 現実が解離している感覚が拭えない。

 「10月31日の出来事が」ではなく「10月31日までの現実が」。


 風がピタリと止んで、代わりに耳鳴りが止まなくなった。