上野へ行ってきた。
今月初旬以来更新していなかったブログ。月末に「上野へ行ってきた」と打ち込むなどとは、初旬の私も想像していなかっただろう。
現在、福祉作業所を長期(予定)で休んでいる。
これも想像していなかった。
何が起こるかわからない。諸々の事情により、壊れてしまった。涙腺と心が。
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いつぶりだっただろう。上野。
目的は岡本太郎展だったが、月曜日は定室日なのだそう。
それでも近くにいた警備員さんに改めて確認する。当然ながら「月曜日はね、休みなんですよ」と。で、「あの場所から見えるモニュメント、写真撮っていく方多いですよ」との助言をいただき、私も辛うじて2階の窓越しから見えるモニュメントをパシャリ。
中に入れなかったのは残念ではあるものの、またここへ来る理由が出来た。
──生き延びれる。
そんな気がした。
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本当に、いつぶりだったのだろう。
数年の時を経ても、上野は上野。
私が個人的にひきこもっていた間も、新型コロナがどうのこうのあっても、人の流れはどの街にもある。
帰りには上野御徒町駅で障害者手帳を提示し、都営の乗り物が無料になる定期券(PASMO)を更新してきた。
手帳を取得し10年経つが、この定期券を申請したのは新型コロナが到来する直前の2019年秋がはじめてだった。使用期限は2年間のため、2021年秋の時点で定期の期限が切れていたが、都営の乗り物を使う機会がまったくないままに放置していた。
これからの2年はどうなるのだろう。
使う機会があればいい。あってほしい。
外へ出る恐怖は相変わらずある。だけど、もっともっと外へ出たい気持ちがある。今日わかった。わかったんだ。
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電車内では、燃え殻さんの小説『湯布院奇行』を読んだ。
抱える連載、追われる締め切り、世の中の評価……プレッシャーを背負う物書きの主人公。あるとき満員電車の中で、ついに限界を迎える。そして死にたい気持ちが浮かび上がってきた彼は、とある人物とのやりとりをきっかけに大分の「湯布院」へ足を伸ばすことになる。そこで辿り着いた先が、なんとも妖しく奇妙な宿で……。
小説を読みながら、かつて毎日乗り降りしていた職場の最寄り駅を通過した。
満員電車の苦痛もさることながら、私鉄からJRに乗り換える際の改札に溢れる人、人、人の波を目の前に「地獄絵図」と毎回心の中で呟いていたのを思い出した。
あれだけ人が押し寄せる場面をクリアし、職場へ着けば今度はパソコンとのにらめっこが始まる。人が疎ましいのか人が恋しいのか、感覚が麻痺してくる日々の連続。
社会人をリタイアし、ひきこもったのち福祉作業所へ通所するもそこでも躓く自分。
先週までは、今度こそ立ち上がれないかもしれないと覚悟していた。
けれどそうでもなかった。
どうして「居場所はココしかない」と決めつける必要があったのだろう。だって幸いにもやりたいことは山ほどある。絵を描きたい、刺繍をしたい、機織りをしたい、切り絵にも挑戦してみたい、読みたい本もまだまだある。
「◯◯したい」を叶えていけばいい。
そのひとつに「岡本太郎展には絶対行きたい!」があった。一般の場合チケットは予約制なのだが、障害者手帳を所持している場合は直接窓口へ行ってよいとのことで行ってみたら休室日だったわけである。
笑ってしまった。
ちゃんと確認しろよ!と己に突っ込みつつ、また来れるぞと嬉しくなった。
12月まで開催されている。
また近いうちに行こう。もちろん月曜日以外の日に。